まちがいだらけの日本の環境保護 山口文江 都議会議員
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2003 年 8 月 9 日    
まちがいだらけの日本の環境保護

少し時間のゆとりができたのを幸いに、一冊の本を手にした。本田勝一編の「釧路湿原」(1993発行)。
1980年、釧路湿原はラムサール条約(国際湿原保護条約)第1号の湿原として登録され、7年後の1987年には国立公園として指定された。釧路湿原の自然保護を求めていた人々にとっては、これで湿原の保護は画期的に進むと期待したが、現実には観光開発を内包しての国立公園として誕生し、周辺の環境破壊が進み、湿原は瀕死の危機に直面しているという。湿原保護の声が高まってきた1970年代、「国定公園化構想」として公表された地域は約4万ヘクタール、しかし、実際に「国立公園」として指定された地域はその1/2に近い2万6千ヘクタール。地元の主要産業である漁業や酪農が衰退し過疎化が進むなかで、観光開発は目玉事業として行政施策の柱と化し、開発企業は自らの利益のために奔走した。
いうまでもなく湿原のいのちは水、その水は湿原を囲む丘陵地と湧水と阿寒連山に支えられている。一部の湿原のみを保護することで完結するものではなく、自然界を結ぶ生態系として環境を守らなければ湿原も,またそこに棲む動植物も守ることはできない。
本書のなかで、本田勝一氏は、日本人を「思慮浅き民族」と称し、その民族に「文明の利器」を持たせる恐ろしさと、表現している。
昨年、練馬区に住む生態学の専門家である三島次郎氏の講演を聞く機会があった。その時、例えば「ほたる」が絶滅寸前の地域で「ほたる」のみを人工孵化させ種を守っても、本当の保護にはならない。「ほたる」が生き続けることのできる環境を生態系として守らなければ真の環境保護にはならない、という言葉を思い出した。
いいかげんに自然に従う謙虚な生き方を取り戻さなければ、私たちの未来はないと感じるこの頃だ。



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