2008 年
8 月
29 日
東京川辺遊覧
〜〜川から見えるまちづくり〜〜
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久々に太陽と青空が戻った27日、甲武信ヶ岳を源流とする荒川水系の隅田川から、日本橋川、神田川、東京湾をめぐる「川めぐりツアー」に参加した。案内は川の達人「神田川ネットワーク」の糸井さんにお願いした。
水辺ラインから東京の景観を見るのも初めてのこと。吾妻橋の船宿から釣り舟に乗り、いったん白髭橋まで上り土盛の緩傾斜堤防につくられた生き物の逃げ場となる「ワンド」を見て再び吾妻橋へ、いよいよ川下りのスタート。
駒形橋、厩橋、蔵前橋とその名もゆかしい橋をくぐり抜けていく。隅田川は「25橋の展覧会」といわれるだけあって、デザインといい、色合いといい変化に富んではいるが、その名にそぐわないのが心にかかる。川岸は緩やかな土盛の堤防の整備がされ、遊歩道や「隅田川テラスギャラリー」の設置など水辺を楽しむ工夫がされている。両岸に建ち並ぶ、斬新なビル群が時代の変化を感じさせる。1960年代、工場排水や家庭排水の汚れで、魚もすむことができなくなった隅田川も今では浄化され魚たちも戻ってきた。この日も、東京都の船が川の清掃に当たっていた。
舟は両国橋から神田川に入る。カミソリ護岸ながらその昔を彷彿とさせる面影が残る水辺に、なぜかホッとする。浅草橋辺りは船宿が並び、川遊びのメッカだったという風情を残し、時代を思わせる交通会館などレンガ作りの古い建築物がときおり姿をあらわす。聖橋からお茶の水橋を過ぎた辺りは緑豊かな護岸へと変わり、鳥たちが集まり、この周辺をお茶の水渓谷と呼ぶそうだ。そういえば、水も濁り(長雨が原因)ごみも浮いているが、カワウ、ユリカモメ、ハクセキレイが川面を横切っていく。一時は「死の川」と言われたこの川も、近年は水質が改善され鯉や鮒、鮎までが遡上するようになったというが、口にする気にはなれないな。
三崎橋から日本橋川へと舟が進むと、上空を首都高速道路に覆われ、光も風もさえぎられて川を行く爽快感が失われる。江戸城へ板前が通ったという俎橋や、錦橋や常磐橋など古い橋が残されているし、江戸城外堀の石垣がそのまま護岸として利用されるなど、江戸の面影が残る川なのに、首都高速道路の橋脚群が景観を損ねている。オリンピック東京大会の「負の遺産」としかいいようがない。一方、河口に近いこの川は、海の潮位の影響を受け易い「海潮域」、水質は「汽水」と呼ばれ魚や甲殻類が豊富らしい。
高速道路を外れて、川面が開けると再び隅田川へ、川風が心地よい。リバーサイドの景観を売り物にした高層マンションが林立する。最後の橋、勝鬨橋を抜けると東京湾。ウォーターフロントの人工的な景観には圧倒され、おし潰されて、なんだか「こころ」が渇いてしまいそう。 同じ水辺の暮らしなら、京都の疎水、金沢、飛騨高山、萩の用水路など、しっとりと落ち着いた町並みがいい。
ものと人が行きかった河川の役割も時代とともに大きく変わってしまったが、変わらないのは自然の循環。雨水や雪解け水が土に浸みこみ、地表に一滴の水となって滴り、わずかな沢が川となり、海へと注ぐ。水の流れが緑を育て、生きものを育み、文化を創る。しかし、周辺の環境は人々の手によって大きく変えられてしまった。自然との共生、私たちはどこで折り合いをつけるのだろうか。
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